音楽業界講座 コラム Vol.2
シンガーソングライターの練習場所が変わってきている?!
90年代後半の音楽ブームの辺りでは、新しいライブハウスやスタジオがたくさん建てられて、バンドを始めシンガーソングライターの人たちも多くの人たちが練習場所として「音楽スタジオ」を使うようになりました。
それ以前は「スタジオ」ってプロの人が使うもので、アマチュアの人たちは十分な音響設備のない公民館のようなところとか、バーとかを借りて練習していました。
音楽スタジオがたくさん出来たことによって、価格競争になってその結果バンドブーム以降はアマチュアの人でも使い易いリーズナブルな価格帯で使えるスタジオが増えていったんですね。
それが、ここ数年では事情が変わってきているのをご存知ですか?
もちろん今でもバンドの人たちの多くはスタジオを使っていますが、ギター一本弾き語りのようないわゆる「シンガーソングライター」の人たちはそうでもないんです。
そもそもシンガーソングライターの人たちの強みは単独が故の「動きやすさ」にありますよね。
当然、みんながスタジオを使っていたわけでは無く、ストリートで練習兼ライブをする人や、家に篭って練習している人たちもいました。
ただ、そのような場合は音響設備も十分でなく、やっぱりどこかスタジオのような設備に憧れてしまう時もあるんです。
そんな人たちのために「ある程度の音響設備で、周りに全く気兼ねなく声を出せる場所」が最近あるんですよ。
それは
「カラオケボックス」
なんですね。
これ、侮るなかれ。
最近では「一人カラオケ」もかなり一般的に認知されてきました。皆さんの中でも経験されたことのある方は多いのではないのでしょうか。
その「一人カラオケ」が派生して最近ではかなり良好な練習場所となっています。
というのも、
・スタジオより価格が安い!!
・マイクが使えるのはもちろん、シールドを持ち込めばギターもスピーカーから音が出せる!
・曲の練習をする際に、DAMなどから曲を選ぶのはもちろんiPodなどの持ち込みで曲を流すことが出来る
・リハーサルスタジオなどと同様に簡単な録音が可能
・しかもフリードリンク!
とりあえず思いつくだけでもこんなにあります!
僕の周りでプロとして活動している人たちも簡単な音出しの打ち合わせや本番前の細かい合わせなどに使っています!
スタジオ関係者と話していても、「カラオケボックスにお客さんを持って行かれているからどうにかしないと…」なんてことも聞きます。
90年代の音楽ブームと一緒に生まれたカラオケブームも時代を経て、その業態に変化が見られているんですね。
今回ご紹介したのは全てのカラオケボックスに当てはまるわけではありませんが、もし練習場所に苦悩している方がいらっしゃるようでしたら一度検討されてみてはいかがでしょうか。
「よくわかる音楽業界講座」全12回コース
詳細サイト http://netongaku.sakura.ne.jp/og.html
音楽業界 「よくわかる音楽業界講座」 担当講師
磯部貴志
学生時代に鍵盤、ギターやベース、ドラムなどのオールマイティな実技に加え、作曲や音楽史やジャズ奏法も学ぶ。高校卒業後にはバンド活動と平行してライブイベントのローディーとして仕事をしながら現場の経験を積む。現在はイベント業務の企画プロデュース等を中心として新人ミュージシャンの発掘、育成、PAや新人アーティストのレコーディングサポート、その他スタジオワークを行っている。